≪元詩≫
このお話は、
下の3枚の写真から
自由に発想した詩を元に、
絵本として描き起こしたものです。
僕の指とあなたの指がつながっている
青い鎖 じゃらじゃら
結構なヘヴィ級
鎖が青い理由なんて誰も知らない
ただ
ずしりと鎖はそこにある
ぼくとあなたの指先に
あなたとはここ数日
口もきいていない
あなたといたって意味がないのに
鎖はきえないの?
いま "君" は見えないね
雲に隠れているんでしょう
それとも
地球の裏側にでもいるんでしょう
鎖よ
青を "三日月の君" に還せ
さすれば鎖は軽くなる
黄色の "君" は
クエン酸不足に加え
カルシウムが足りない
早く青を還さなきゃ
なぜなら
おぼろすぎるんだ
"半月の君"
ぼくとあなたは
"月の君" に
青色を還すことにした
なぜだろうね
ぼくたちが故意に鎖を
青くしたんじゃないのに
大地がまわる
そして
"満月の君" がやってくる
ぼくらはあまりにもその鎖が重すぎて
心身共に重すぎて
落ちてゆきそうだ
早く青を吸い取って
そしたらぼくら自由になれるよ
いつの間にか眠っていた
夢の中で
スコップですてきなものを掘り返す作業をしていた
窓を開けると
青に包まれる大きな綿あめ
鎖をみた
透明になっていた
なんて軽い
なんて自由
でも後ろ髪をひっぱるんだ
とぎれてしまうと
さみしくなるんだ
そういえば "満月の君" は
あなたにそっくりだったかもしれない
時にゆるやかに そして刺すような
やわらかな光
あ あ
橙の涙の粒が
勢いつけてあふれ出た
"君" よ
かわりにこの橙色をあげる
灼熱のあの星に
渡しておいてくれないか
きっと彼ならうまく橙を使ってくれるだろう
だからもう一度
青色を 青色を
「あなたといたって 意味が無い」?
ちがう
あなたといる事自体に意味があるってわかったんだ
重いものは大切なものなんだ
指につながった青の鎖
その指で黄色な果物をかじるあなた
雲に眠ろう
ありったけのその黄色を持って
青に映えるさ
虹が出来るさ
そしてたまに "君" にも黄色をあげるんだ
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